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V字研メルマガ vol.81 「経営計画策定の5STEP」

「経営計画策定の5STEP」

梅雨地味てきましたね。晴天続きだった先月が懐かしいです。
5月は経営計画発表会に招待されること3回ありました。
毎年、社長や社員の皆様の熱い発表に感動します。

経営計画発表会にご招待いただいた会社は
いずれも10年以上のお付き合いです。
中でもA社は19年前、経営計画づくりをお手伝いした会社です。
当時に比べ売上げは4倍以上、社員数は3倍に成長しました。

これだけの躍進を目の当たりにしますと
経営計画こそ企業経営の最重要事項だと思います。

「経営計画策定以上に重要な仕事はない。
ゆえに『忙しくて経営計画を作っている暇がない』とは
ナンセンスな言い訳だ!」は
尊敬するコンサルタント一倉定先生の言葉ですが、
まさにその通りだと思います。

ところがそんなA社でも、当初経営計画づくりを勧めたときは
「計画なんか作っても無駄。どうぜその通りいかないから」と
抵抗されました。計画はその通り行くもの。
その通りできなければ価値がない、と思っているのです。

が、その時は次のように伝えました。
「確かに計画通りに進むことはまずあり得ません。
しかし、計画とずれたとき、その差を見ることができます。
この差は何から生まれたのかな?と考えれば
自分の思い違いや、実行忘れ、甘かった点などに気付きます。
それを改善することで、ビジネスが成長するのです」

私がこの考え方に確信を持ったのは、
当時聞いたある経営者の反省の弁からでした。

その人は、自社の社員から
何一つ改善提案が出て来ないことを嘆いていました。
そして、それを社員がダメだからだと考えていました。
が、自分がはじめて経営計画を作ってみたとき、
その原因がわかったといいます。

「経営計画がないのだから、今がいいのか悪いのかの基準がない。
基準がないから気づかないし、改善提案なんて出るはずない。
ダメなのは、気づかない社員じゃなく
無計画経営をしていた自分だったんだ」

以来、私は計画の価値を多くの社長に説いてきました。
冒頭のA社もそのような会社のひとつでした。

こうして経営計画作りに本腰を入れた社長が次にぶつかる壁が
「どうやって計画を作ればいいかわからない」です。
どうしても経営計画作り=数字との格闘
というイメージがあるようなのです。

しかし、数字=資金計画は赤字からの脱出を前提としない限り
最後に考えればいいことです。
それよりもまずやりたいことや、やらなければいけないことを
次の5段階で考えて明確にします。

STEP1.誰の何のために、何をやるのか?(目的)
STEP2.いつまでにどれだけやりたいのか?(定量目標)
STEP3.何をどれだけやる必要があるのか?(必要行動の洗い出し)
STEP4.誰が、いつ、何をやるのか?(スケジュール)
STEP5.どうやって、進捗を確認していくのか?(チェック)

このうち、最も間違いやすいのが
STEP2とSTEP1の順序を逆にしてしまうことです。
「3年後に売上100億にしたい!
そのために何をやるのがいいのか?!」

そう考えると、人は数字の奴隷になってしまいます。
数字の奴隷とは「稼げるのならば何でもいいや」になってしまい、
「何でも屋」になってしまうことです。
「何でも屋」になると、その企業の特徴が出ません。

何でも屋は、お客様に「貴社は何をしている会社ですか?」
「貴社の特徴(ウリ)は何ですか?」と聞かれても
胸を張って答えられません。

すると、「これを買うなら、あの会社だね!」
「××は、あの会社が一番だね!」というブランドができません。
市場が縮小する時代は「逆指名」の競争です。
ブランドがない会社に、お客様は見向きもしないでしょう

市場縮小時代には
STEP1とSTEP2の順序を間違えてはいけないのです。

そんなことを考えていたら、新しいお客様からの
経営計画づくりのお手伝い依頼が今週だけで2件ありました。
しかも、次世代を担う幹部全員で作りたいといいます。
「トップダウン」から「皆で目指す経営」へと進化しているのです。

19年前、A社でも同じように若手社員が
一生懸命考えて経営計画を作りました。
今の、同社の社長、専務、常務たちです。
今回もまた、A社のような成長企業づくりに貢献できれば思います。

 

V字研メルマガ vol.80 「ワクワクする若者の育て方」

「ワクワクする若者の育て方」

5月は5月らしく五月晴れ続きの日々。
6月は6月らしく雨。今日はそんな感じの日ですね。

「らしさ」が求められるのは季節だけではありません。
企業もまたらしさのある活動が求められています。
私もコンサルの現場で、「『貴社らしさ』って何ですか?」と尋ね、
「それを一言でいうとどうなりますか?」と突っ込みます。

そんな中、先日『カンブリア宮殿』に「キングジム」の
宮本社長が登場していました。
そして「キングジム」のらしさを、村上龍は
「類稀(たぐいまれ)なわくわく」とひと言で紹介していました。

実際に番組では20代の若者が開発した商品を
開発した若者とともに次々紹介していました。
ポメラや非常時用の寝袋など、かばんを椅子に掛けるツールなど
多くは以下のサイトのピックアップに紹介されているものです。
http://www.kingjim.co.jp/

こんな変てこな商品が開発され続けるのは、
第一に同社の社員は、自分が欲しいものを創っていること。
そして、同社には10人の役員のうち、1人でも賛成すれば
開発GOという1/10ルールがあるからです。

実際にオンエアされた22歳の若者が創った商品は、
私にはさして魅力的に見えない商品でした。
役員会でも反対の意見が多数出ていました。
が、同社の役員の1人が賛成し、製品化GOとなりました。

ではなぜ10人で1人賛成でもGOなのか?
それは年商300億円の同社ならではの考え方でした。
同社にとってニッチな市場で独占するのが一番「心地よい」戦略。
「一割の心に刺さればいい」という考えで意思決定しているのです。

そうした番組映像を見ながら、
私は、自分がブラザー時代に体験した企画者魂が
OEM先だったこの会社に仕組みとして定着していると感じました。

読者の皆さんにはご存知の方も多いと思いますが
私はブラザー工業に勤務していた24歳の時、
現在も売れているTEPRA1号機の企画担当をしました。

当初ブラザーは大変な赤字に苦しんでいました。
そこで「何でもいいから新商品のアイデアを探してこい」という
上司に指示を受けました。

その数年前、形状記憶合金を用いたワコールのブラジャーが
大ヒットしていました。開発したのは、技術者ではなく、
専門の企画担当者。その人は新商品のアイデアを探して
いろんな展示会を回っていました。

そこで見つけたのが「形状記憶合金」。
洗濯時にどれだけ形が崩れても人の体温で元の形に戻る。
それが受けて大ヒットしていました。
そんな彼を人は「ぶらぶら社員」と呼びました。

私への指示はブラザーの「ぶらぶら社員」になれ、
というものでした。アイデア探し専門です。
そして、同じブラザーの社員が温めていたアイデアを発掘。
そこから生まれたのが、後のTEPRAの試作機でした。

ただし、試作機の時点でこの企画は一度お蔵入りしました。
市場調査の結果が悪かったからです。
その判断に失望して1か月経った頃、キングジムから連絡が入ります。
「面白い商品があったら見せてほしい」という話でした。

そこで没案の試作機を見せたところ「ぜひやりたい!」という返事。
捨てる神あれば、拾う神ありです。
やがて国内はキングジムにOEMして「TEPRA」という名前で
海外ではブラザーが「P-touch」の名で売り出すことが決定しました。

どちらも空前の大ヒットとなったのですが、
その根源にあったのは「会社の危機感×若者への期待」でした。
当時の企画メンバーは私を含めて4人でしたが、全員20代。

ミシンも編み機もワープロも10万円以上した時代です。
「こんな安すぎる商品は、誰もやりたがらない」と反対されました。
が、何より自分が一番欲しいと思っていましたし、
メーカー人としてアイデアが現実になる体験がしかったのです。

こんな体験談を語ると、「今でもブラザーに『ぶらぶら社員』は
いるのですか?」と聞かれますが、私にはわかりません。
が、少なくともキングジムには、似たような仕組みがあります。
そして、それが村上龍の言う「類稀なわくわく」を生んでいました。

近年、若者の主体性がなさすぎる、という意見を多数聞きます。
それをスマホの普及だとかゆとり教育のせいとかにしています。
しかし一番は、その企業に若者に期待するような風土を
作っていていないからではないかと思います。

昔のブラザーのような危機感や
キングジムのような挑戦心を後押しするルールがあれば、
今の若者だって「類稀なわくわく」の日々を送れるのではないでしょうか。
若者に元気がないのは若者の責任でありません。
そこに期待し、環境を整えていない自分たちの責任なのです。

 

V字研メルマガ vol.79 「サプライズよりプラスワン」

「サプライズよりプラスワン」

マクドナルドが5月25日から
再起を期してスマイル0円を復活させました。
http://toyokeizai.net/articles/-/70541

スマイル0円はマクドナルドの原点だと、カサノバ社長は胸を張ります。
しかし…、私にはどうも時代遅れな感じがします。

スマイル0円はサービスですから…ね。
今どき、サービスで他社比の優位性は創れないと思います。
多く会社がホスピタリティに力を入れている時代です。

サービスとホスピタリティは違う。よく聞きます。
私は次のように学びました。
サービスは、誰にでも同じようにするもの。
対してホスピタリティは、あなただけのもの。
スマイル0円は、誰にでも振る舞っているもの。
それを頂いても、特段感激はしません。

また、サービスは有償のもの。
だからわざわざスマイル0円という価値はあります。
が、ホスピタリティは無償のものです。
それは0円でなくプライスレスという意味です。
0円と金額換算すること自体が不自然な行為だと思います。

さらに皆がマニュアルを超えたホスピタリティやおもてなしに
力を入れている時代です。
そこにマニュアル通りに行うサービスの復活なんて
何か不自然な感じがします。

そんなことを考えていたら、福岡に出張した時に
「これはホスピタリティだ!」と思う体験をしました。
仕事を終え、平和台球場跡地から終点の博多駅まで
西鉄バスを利用したときのことです。

そのバスに乗った途端、私には大声の会話が聞こえてきました。
意味は不明です。「なんて騒々しいんだ…」と思ってみると、
会話の主は運転手と外国人の乗客でした。
大声なのは、バスの運転手がマイクを付けているからです。

最初、外国人のために運転手が観光案内しているのかと思いました。
が、どうやらそれは私の見込み違いでした。
私は荷物が大きいので人の邪魔にならないよう
最後列に座ったのですが、隣からこんな声が聞こえてきました。

「韓国語で『ありがとう』って言っているよ。
なんか、感動しちゃった~」。
この会話で私の謎も解けました。
どうやら運転手は韓国語が話せるようなのです。

福岡に限らず、外国人観光客の多い松山では、
バス車内では、日本語の他に英語、中国語、韓国語の案内が続きます。
が、それらは皆、録音です。
運転手の地声で、しかも乗客との会話を聞いたのは初めてでした。

この運転手、運転中何度も次のことをアナウンスしています。
「バスをお降りになる際は、準備されている方のご迷惑に
ならないよう、小銭をご用意ください。
両替が必要な方は、停車中に両替をお願いします」

何人もの外国人と運転手のやり取りを聞いた後、
バスは終点の博多駅に着きました。
降りるとき、韓国語のことを運転手に尋ねてみました。
すると、彼は次のようにいいました。

「ほんの少しだけど勉強して話せるようになりました。
言葉が話せないと、スムーズな昇降ができず定時運行できないのです。
会社の研修ではありません。自費で学びました」

「一番多いのは『500円玉で払うからお釣りください』という質問です。
その時『その両替機使って、この中に現金入れて』と教えないといけない。
また、500ウォンを料金箱の中に入れようとする客もいます。
『それはダメだよ!』と言えないといけない。だから覚えたのです」。

それを聞きながら、私はつくづく感心しました。
彼は、とにかく定時運行を大事にしたい人でした。
いわゆる「おもてなし」とは、ちょっと主旨が違いました。

彼はバスの運転手として客が一番求めているもの
=本来業務をしっかりやりたかっただけでした。
韓国語もそのための自己投資です。
が、よくよく考えてみると、
ホスピタリティとはそういうものかもしれないと気づきました。

ホスピタリティは、それだけが単独で存在し
「わが社のホスピタリティをどうしよう?」などと
考えるものではないのかもしれません。

本来業務をもっとしっかり行って、ちゃんと満足してもらうために、
今まで以上に何を準備したらいいのか。
後、どんなフォローがあればいいのか。
サービスは本来業務そのものですが、
それを輝かせるワンアクションこそが、
ホスピタリティなのかもしれません。

2回前の本メルマガで紹介したレクサス星ヶ丘には
「サプライズよりプラスワン」という言葉があります。
西鉄バスの運転手さんの韓国語の話を聴きながら、
その意味がようやくわかった気がしました。

 

V字研メルマガ vol.78 「素人だからこそ生まれたヒット商品」

「素人だからこそ生まれたヒット商品」

業務過多によりメルマガが22日と26日に発行できず
申し訳ありませんでした。

読者の皆様からは「体調大丈夫ですか?」など
ご心配をいただきました。ありがとうございます。
大丈夫です。今後このようなことのないように注意しますね。

さて、近年、女活が叫ばれています。
女性ならではの視点と力をもっとビジネス!に生かしたい。
そう考えている企業は少なくありません。
が、一方で「私なんて素人だからとても戦力にならない…」と
最初から遠慮がちな女性も多数います。

が、素人だからこそ発揮できる強みもあります。
そこで今回は、女性スタッフの素人ならではの力を生かし、
大ヒット商品を開発した旭硝子(がらす)さんのエピソードを紹介します。

旭硝子は、言わずとしれたガラスのNo.1メーカーです。
主なお客様は建設会社に自動車会社。
自動車会社から来たオーダーをしっかりと受け止め、
納期通りに収める「レシーブ型」の仕事で大企業になりました。

しかし、レシーブ型の仕事ばかりでは、成長は見込めません。
皆さんもよくご存知のように国内の自動車生産台数が
落ち込んでいるからです。

そこで旭硝子は、「アタック型」の仕事に挑戦します。
自分たちから自動車会社に「こんなガラスを創りました。
新車に採用してみてはいかがでしょう?」と提案することにしたのです。

問題は、そんなガラスが創れるか、ということですが、
調べたところ全体の台数が減少する中で、伸びている車種がありました。
軽自動車や小型車などのコンパクトカーです。

運転しているのは主に女性ドライバー。
そこで彼女たちが運転中に感じているストレスのうち、
ガラスで解消できることは何かを探してみました。

すると、女性ドライバーは運転中の日焼けを
気にしていることがわかりました。
もちろんそのことは自動車会社も気が付いていて、
UVカット機能付きのガラスはすでに存在しました。

しかし、当時のUVカット率70%程度では、
女性ドライバーは全然満足していませんでした。

70%あれば、赤くなることを防ぐことはできます。
しかし女性が心配するのは今日の赤さではなく20年後の肌にシミ。
彼女たちにとって僅かな紫外線もキケンなのです。
彼女たちが納得するのは、UVカット率100%だけなのです。

そこに気付いた旭硝子はUVカット100%ガラスを開発する
プロジェクトチームを起ち上げます。メンバーは総勢3人。
技術と営業に通じた調整能力に長けたリーダーと、生粋の技術者。
そして、当時非正規社員だった女性のKさんです。

Kさんは、技術にも営業にも全くの素人でした。
当初はプロジェクトチームの事務担当だったのですが、
人手不足からいろんな仕事を任せられます。
ある日、彼女は女性ドライバーの生の声を集める仕事をします。
その時、UVカット100%が強く望まれている現実を知ります。

ただし、それを技術的に実現するのは容易ではありません。
そのため社内の上層部からは「90%じゃダメなのか?」
「100%にしたところで本当にそんなに売れるのか?」などの
疑問がどんどん投げかけられます。

こうした疑問の声に、Kさんは決して妥協しませんでした。
ユーザーの一番の理解者として、
ユーザーの一番の代表として「100%でないとダメ。
それ未満なら80%でも90%でもゼロと同じ」と主張し続けます。

こんな時、擦れた社員なら安易な落とし処を探すのでしょうが、
素人ゆえに、社内のパワーバランスに縛られなかったのです。

UVカット100%のガラスが完成した後も、彼女は活躍します。
一番の課題は「UVカットができている」ことを、
どうやってユーザーに確認してもらうかです。
「ほら、カットできているでしょう!」と車を買いに来た
お客様に伝えることができたら一番いいわけです。

そこで考え付いたのが、東急ハンズで売っていた
紫外線に当たると赤く反応するグッズ。
これをUVチェッカーに用い、普通のガラスよりも
格段にUVカットできることを、見える化したのです。
http://www.agc.com/products/uv_premium/

こうして生まれた旭硝子の『UVベール』は、
トヨタのヴィッツをはじめ、20種類以上の車種に採用され大ヒット。
今では同社自動車ガラス事業の柱のひとつに成長しました。

「素人には素人だからこその価値がある」。
旭硝子に限らず、そう思っている上司は少なくありません。
是非、必要以上に謙虚にならずに、
自分の可能性を信じで仕事に取り組んでくださいね。
あなたの周囲は、あなたの積極性を期待する人であふれているのです。

 

V字研メルマガ vol.77 「自分で考え行動する社員の育て方」

「自分で考え行動する社員の育て方」

大阪都構想、実現しませんでしたね。

反対50.4%、賛成49.4%。
これで都構想を諦めてしまうのだから勿体ない話です。
これが経営なら、ここからが本番。
数年後同じ投票をしたら、20:80になるように
Win-Winの改善を重ねていくことこそ経営者の道です。

それなのに諦めてしまう。私はこの潔さが心配です。
というのも、近年、失敗を恐れて自分からトライをせず、
言われたことしかしない若手社員が増えているからです。
彼らは首長が「失敗したので責任取ります」と言って辞めてしまい
それが称えられているのを見て何と思うでしょうか?

いつの時代も、若者の気づきと失敗をいとわない行動力こそが
お客様を喜ばせ、会社を変え、社会を変えていく原動力です。
失敗=責任ではなく、失敗=再挑戦。
今回は、若者のちょっとした暇つぶしから
No.1企業へと成長した事例を紹介したいと思います。

舞台は名古屋市千種区にある「レクサス星ヶ丘」です。
14年9月に刊行された『No.1トヨタのおもてなし~
レクサス星ヶ丘の奇跡』(志賀内泰弘著・PHP研究所)で
有名になった、年間750台以上販売する
キング・オブ・レクサスとよばれている店です。

この店はオープンした2005年は受注台数が212台でした。
並み居る競合を押しのけ、ここまで成長したのは理由があります。
それは、同社のおもてなし。
特に効果が大きかったのは「洗車の無料サービス」です。

レクサス星ヶ丘と言えば、施設内に「酸素バー」や
「シミュレーションゴルフ練習場」があることで有名です。
お客様が車をメンテナンスしてもらっている間を
愉しんでもらうためのコーナーです。

が、高級車ユーザーは、高級な店舗を構えても
まずディーラーには来ません。
担当者を自宅に呼びます。担当者が試乗車を持ってきます。
担当者が納車し、車検は担当者が取りに来るのが常識です。

まして近年はディーラー直接ではなく、
リース会社経由で購入されるお客様も多く、
ディーラーとの距離は遠のくばかりです。

「これでは、何のための店舗なのかわからない」。
そう考えた吉田GMは、上記のコーナーの併設を考えました。
しかし、それだけでお店の来場者が増えるほど
市場は単純ではありません。

そんなある日、お客様がとても喜ぶ出来事がありました。
オープン当初、同社のメカニック担当は暇を持て余していました。
売った車は新車ばかり。修理の依頼などほとんどありません。
そこで暇潰しにお客様の車を、頼まれもしないのに洗車したのです。

するとそのお客様は「普段は近所のスタンドに洗車を
お願いしているに、ディーラーが丁寧に手洗いで、
しかも無料でやってくれた!」と大感激してくれたのです。

以来、同社は無料の洗車サービスを開始しました。
同社のすぐ隣は星ヶ丘三越です。
レクサスに車を預け、買い物。その間に洗車。
そんな利用の仕方が人気を呼び、
現在では専任のスタッフをおいて
毎月1200~1300台の洗車を行っています。

無料サービスということで採算が心配ですが
吉田GMによると、採算は合っているといいます。
第一に、洗車をしていると、誰かに悪戯されたり、
小石が飛んで来て付いたボディの小さな傷が見つかります。
ボディコートの剥がれも見つかります。

いずれも5万円以下の板金工事で直るものですが、
その依頼が増加し、洗車スタッフの人件費を吸収しています。

第二に、洗車に来る人の多くは、毎月1回は同社を訪れます。
すると、定期的な接点を持つことになり、
直接イベントや新商品案内ができるようになりました。

このことと毎月1200人のユーザーとの接点を持つために
訪問したりDMを打ったりする費用を対比して考えると、
無料の手洗い洗車は十分にペイしているのです。

同社の「頼まれていないことをする」という
おもてなしの風土は、こんな成功体験から生まれました。
現場から出てきたことを戦略の中核に据えた事実が
組織の成功体験として根付き、風土となったのです。

従業員が自主性を発揮する風土は、
このような成功の記憶から生まれます。
成功体験が少ない若者たちのためにも、
「失敗=負け」ではなく、「失敗=再挑戦」と捉え、
成功するまでやり続けてほしいと思います。

 

V字研メルマガ vol.76 「自分で考え行動する社員の育て方」

「自分で考え行動する社員の育て方」

今日は前々号の続きです。

前々号にマネージャの大事な仕事は
「部下に『どうしたら問題解決でるか?』を考えさせること」
だと書きました。

すると、読者からこんな質問を頂きました。
「尋ねても意見が何も出ないのです。どうしたいいのでしょう?」
今回はこの意見について私なりの回答をしたいと思います。

まず、意見が出ない原因のひとつに、
考える時間を十分に与えていないことが考えられます。
上司に「どうしたらいいと思いますか?」と言われて、
すぐにあれこれ思いつくのは、反射神経の良い人だけです。

そこで、「どうしたらいいと思いますか?」と尋ねたら、
少なくとも5分間は自分で答えを考える時間を与えましょう。
そして、自分の意見が見つかったら必ず手元の紙に
書いてもらうようにしましょう。

ミーティングの場でこれをやると隣の人が何か書いているのに、
自分が何も書けていない…これは結構なプレッシャーです。
だから皆、必死で考えます。

また、予めポストイットノートとサインペンを渡しておき、
1枚につき1件の意見を書くようにすると後が便利です。
参加者は、自分の意見が書かれたポストイットノートを
発言しながらホワイトボードに貼っていきます。

すると、後々意見の集約、分類などまとめ易くなります。
何より、自分と仲間の意見が見える化ができているので、
場の雰囲気が明るくなります。

この方法は10年ほど前、
私が三菱UFJリサーチ&コンサルティングの部長だった時代に
会議普及ファシリテーション協会の釘山健一先生に
教えていただいた方法ですが、今でも使っています。

もし5分で意見が出ない場合は、宿題とし、
「××日までに3つ考えて持ってきて」と依頼する方法もあります。
が、それでもなかなか意見が出ないとしたら、それは従業員に
「自分で考える癖」がついていないからだと考えられます。

カーナビの命令通りに運転していると目的地には行けます。
が、道はなかなか覚えられません。それと同じで、
長い間に「トップダウン」→「言われた通りにやればいい」が定着し、
いつしか考えなくてもいい人になってしまったのです。

そんな考えない体質を考える体質に変える方法があります。
「環境整備」です。
整理・整頓・清掃を毎日やっていますと、
会社の中の不便な個所や見え辛いところが見つかります。

すると誰もがもっと「使いやすいように直そう」
「遠くから見てもハッキリ分かるようにしよう」等と
ごく自然に考えるようになります。
そして、改善を実行すると、周囲の人が喜んでくれます。
それが嬉しくて自分で考えて自分から行動する人になります。
つまり、自主性の高い従業員が自然と育つのです。

先ごろ、環境整備日本一と呼ばれる京都の
「傳來工房(でんらいこうぼう)」様を見学させていただきました。
同社は創業が平安時代初期と言われる、アルミ鋳物メーカーです。
http://www.denraikohbo.jp/

このとき、懇親会場で同社の橋本社長から、
「酒井さん、あんた何のコンサルしてんねん」と尋ねられました。
私は「業績で伸び悩む会社のV字回復支援をしています」、と答えました。
すると社長は、「ほな、環境整備は関係ないやん」といいます。

そこで私は「そんなことありません。業績がV字回復した会社が
更に成長していくには社員の自主性が欠かせません。
その人材育成のために環境整備は必要です」と上記の持論を答えました。

すると社長はニッ笑って次のように言いました。
「それなら良しや。今な、私はあなたを試したんや」。

問われた時は肝を冷やしましたが、環境整備日本一の会社の社長に、
「環境整備=自主性ある人間の育成=成長戦略の基盤」という
考え方を認めていただき、ホッとしました。
そして、環境整備に取り組む会社が、
軒並み好業績な理由もよくわかりました。

従業員から意見が出ないのは、従業員が悪いのではなく
日頃から考える癖をつけさせていないリーダーが悪いのです。
実際に質問者に、「オフィスのトイレ掃除は誰がやっているのですか?」と
確認したところ、「自分です」との回答でした。

それは一個人としては素晴らしいことです。
が、リーダーとしては部下の「気付く習慣作り」の機会を
知らず知らずのうちに奪っているのかもしれません。

考える癖をつける環境整備、
あなたの会社でもはじめてみてはいかがでしょうか?

 

V字研メルマガ vol.75 「問題解決策を選ぶ4つの評価基準」

「問題解決策を選ぶ4つの評価基準」

さわやかな五月晴れ続きかと思ったらいきなり台風来襲!
びっくりです。大雨にならないといいですね。

さて、前回マネージャの大事な仕事は
「部下に『どうしたらいいと思うか?』を考えさせること」と
書いたところ、読者から次のような質問を頂きました。

「到底実現できない大きなことばかり出てくるのですが…」
そこで今回は、このようなときに
マネージャはどうしたらいいかを考えてみたいと思います。

まず、アイデアはどんな内容でもいいから
出尽くすまで出させましょう。

最初から「今すぐできることに絞って考えましょう」とやると、
必要以上に発想を止めてしまうリスクがあります。
ブレーンストミングと同じようにまずは発散です。

対策案が出尽くしたら、次は絞り込みですが、
絞り込むときの基準は以下の4つが一般的です。

1. 実現可能性(自分たちでやれること)
2. 経済性(コストがかかりすぎないこと)
3. 即効性(効果が出るのが早いもの)
4. 納得性(周囲の理解が得られること)

各アイデアにそれぞれの視点で◎や△を付けていき、
これを点数化して得点が高いものを選びます。

例えば、「仕事量が多すぎる」「スピードが遅い」が
問題となっている場合、
よく「専門部署を創るべきだ」という対策案が出ます。
確かに、それはひとつの方法です。

しかし、自分たちの負担が重いから
「誰かが代わりにやってくれたらいい」という発想は、
余りにも短絡的です。人はどうするんだと聞くと、
「採用すればいい」といいます。

そうなると、上記4つのうち
2「経済性」や3「即効性」で×となります。
さらに1の中に「自分たちでできること」との縛りがあれば
1も×です。そうやって、無責任な案が落ちていきます。

以前、ブラザー工業に勤めていた時、
OEM先の工場に行って徹夜で修理をしたことがあります。
商品はキーボード。その中の特定のキーが抜ける、
という問題が発生しました。
原因はキーのある部分が細かったことでした。

本来なら新しいキーに取り換えるべきですが、
それを待っていたら納期的に間に合いません。
そこで、ブラザーと客先の課長間で対策を話しあい、
現場で抜け落ちるキーにハンダで傷をつけることにしました。
傷を付ければ、樹脂の溶けた部分が太くなり、
そこがひっかかってキーが抜けなくなるのです。

幸い、傷を付けた場所は外からは見えません。
すぐできて、コストがかからない、グッドアイデアでした。
私たちは徹夜でこの作業をしました。
そして翌朝、作業完了の報告をお客様の部長にしました。

すると、部長は次のように言いました。
「いくらキーの抜けを防止するからといえ、
わが社の商品に傷を付けるのは許せない!」

つまり、抜けるキーに傷を付ける対策は
上記1「実現可能性」、2「経済性」、3「即効性」はクリアしたが、
4「納得性」をクリアできなかったのです。

結局この時は、お客様に納期を遅らせていただき、
正規部品で交換しました。
私は新しい部品の到着をホテルで寝て待ち、
翌日も徹夜で、キーボードのキーの交換をやりました。

評価基準の1~4はすべて均等に並んでいるのではなく、
人や会社によってそのウエイトは異なる、ということです。

今思えば、このときのお客様は、3「即効性」を犠牲にして
4「納得性」を守ったわけですが、
『傷を付けない』がお客様の矜持であれば、当然でした。

部下に「どうしたらいいのかな?」のアイデアを求めるときは、
自分の対策案評価基準を事前に持っておきましょう。
そして、アイデアが出尽くしたらその基準を見せて、
部下自身に絞り込ませましょう。

が、数案に絞り込んだら、そこで決めるのはマネージャの仕事です。
「いい案がないからやり直し!」を命じるのもマネージャの仕事です。
そのときは、なぜその案にしたのか、きちんと伝えましょう。
廃案の場合も同様です。なぜダメなのかも伝えましょう。

上司の評価基準を知ることは上の目線に立つのと同じ経験です。
私がブラザー工業時代のお客様から学んだように、
きっと、あなたの部下もあなたの評価基準から多くを学ぶでしょう。

 
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株式会社 V字経営研究所

株式会社V字経営研究所は、2014年4月に起業した、次世代経営チームの育成を支援するコンサルティング会社です。 「 事業と人財のV字回復するプログラム、あります 」 をスローガンに、企業の最重要課題である増収増益の実現と人財が育つ仕組みづくりを支援します。また、その実践を通じて社長が右腕と頼む次世代経営チームを育てます。次世代経営チームが強くなれば、今日出会ったお客様と、100年後も付き合い続けることができるでしょう。
企業がそのような100年ブランドへと成長することが当社の理想です。

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