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V字研メルマガ vol.31 東レの一兆円思考法2

先日、百円ショップでプラスチックケース(プラケース)を買いました。
仕事の7つ道具(ポインター等)を持ち運ぶためです。

当初大変便利に使っていたのですが、やがて問題が発覚します。
蓋がすぐに外れてしまうのです。
おそらくこのプラケースを企画した人は、
私のように携帯して歩く人を想定していなかったのでしょう。
だから、蓋の耐久性は重視しなかったのだと思います。

「安ければいいというわけではないな…」
そう気が付いた私は、現在文具屋でより耐久性の高い
プラケースを物色しています。
今の選択基準は、コスト<品質です。

このように、用途に応じて顧客の選択基準は変わります。
ところが、企業の中にいると、
こんな当たり前のことに、気がつかないことがあります。
先ごろ、ボーイング社から炭素繊維を用いた翼の製造などで
一兆円の受注をした東レの場合もそうでした。

東レのメイン商品は化学繊維です。
印刷機に用いるフィルムはその代表的なものでした。
ところが、「これは売れる!」と見込んだ商品が
思うように売れないことがありました。

「高度な技術で作られているのになぜ売れない?」
皆、その答えが見つからずやきもきします。
営業は「技術が主張するほどの品質優位性はない!」と主張し、
技術や生産は「販売の仕方が悪い。他社比低価格の販売戦略しかない
もっと安く売ったらどうだ」と主張します。

これではいつまで経っても打開策は見えません。
その状態を見かねた社長は、現場に対し次の問いを投げます。
「私たちは『マーケット』と『フィルムの強み・弱み』を
『本当に』知っているのか?
『正確に』知っているのか?
『定量的』にわかっているのか?」

この問いに、対立色を深めていた現場は我に返りました。
専門家は「良く知っている」という思い込みに陥りがちです。
完全な情報などはありえず、違う観点を持っている人の
見方を参考にしないと見てこないこともあります。
そこで、東レは営業、技術・生産、開発メンバーが参画した
クロスファンクショナルチームを結成し、改めて議論しました。

すると、売れない原因が見えてきました。
売りたかったフィルムAは、確かにフィルムBよりも低価格です。
が、耐熱性では劣っていました。

印刷機は、高速で回転すると熱を持ちます。
そのため高速印刷時には、より耐熱性の高いフィルムが求められます。
それに応えられるのはフィルムAではなくフィルムBでした。

このようなとき、印刷会社はトータルの収益性が高い方を選びます。
フィルムBは高価ですが、使用すれば印刷スピードが上がります。
すると生産量は増えるし、顧客から特急料金を頂くこともできます。
その結果、安価なフィルムAよりも、
「より儲かるフィルム」として高価なフィルムBが求められたのです。

東レはこのような経験から、新商品の開発に当たっては、
必ず部門横断型のクロスファンクショナルチームを形成し、
全員のベクトルを合わせるSWATを行っています。

SWATは「S=Strong(強みの把握)、W=Weak(弱みの把握)、
A=Analyze(分析)、T=Task(実施事項)」の略で、
仕事の進め方を表しています。

そして、Aの時点では下記12の角度から分析します。
A.マーケットの理解:
①マーケットの構造 ②マーケットの布置関係 ③顧客の戦略 
B.フィルムと顧客の理解:
①フィルムの使われ方 ②重要な特性・ポイント ③顧客の加工プロセス 
C.強み・弱み分析1:
①競合他社の技術 ②競合他社の強み分析 ③競合他社の強みと弱み 
D.強み・弱み部分析2:
①機能としての品質 ②加工時の品質 ②技術サポート

分析時にはこれら12の情報を一枚の紙に落とし込みます。
上記の印刷会社の事情はB-①、D-②に登場します。
「マーケット、ものの流れ、技術の強み弱みの鳥瞰図」を
示した一枚を眺めることで、
「何を知らないのか」がわかり課題を発見できるのです。

クロスファンクショナルチームによるSWATは、
一兆円受注時にも役立ったと言います。
一回の失敗に学び、それを繰り返さない仕組み化し、
違いが分かるネーミングを施す。

SWATの考え方も学びたいですが、
このような企業姿勢こそ学びたいものですね。

 

V字研メルマガ vol.30 東レの一兆円発想法

先日、東レが17夕方のニュースで大々的に取り上げられていました。

「東レの炭素繊維、1兆円規模の受注 ボーイングと合意」

「東レは17日、米航空機大手ボーイングが
2020年の就航を目指している大型機「777X」の翼に使う
炭素繊維を独占的に納めることで基本合意したと発表した。
すでに納入している中型機「787」向けも合わせて、
販売額は今後10年間で1兆円規模になるという」

単独企業の受注がTVニュースで報道されるのは珍しいですね。
「1兆円」という受注規模が持つインパクトや、
「炭素繊維」という、かつての『プリウス登場』にも似た
日本初の技術が世界にイノベーションを起こすのでは!という
期待が大々的な報道に繋がったのでしょう。

その報道を聴きながら、東レの営業担当者の姿が目に浮かびました。
素材型ビジネスは、一に提案、二に提案、三四がなくて
五に提案というくらい、新たに開発した商材を
「こんな用途に使えませんか?」と提案してこそ受注につながります。

炭素繊維も開発から40年以上も赤字続きでした。
航空機の翼以外では自転車とか釣竿など、利用範囲は限定的な素材です。
それを克服し大型受注に繋げたのは、
開発しては顧客に提案し、宿題を持ち帰っては改善し、
再び顧客に提案する…その繰り返しだっただろうと思います。

そのような、「提案命」の仕事には、
「東レならではの思考法」がいくつも生きています。
先日の見学時に責任者にお伺いしたものですが、
とても感心したのでここに紹介したいと思います。

そのひとつが、4Cです。
4Cとは「Customer(顧客)、Customer’s Customer(顧客のお客)、
Competitor(競合)、Competitor’s Customer(競合のお客)」の
4つの視点から環境を分析するものです。

今回のボーイング社の例にとれば、
ボーイング社だけを見て企画提案をするな、
その顧客であるJAL他航空各社を見て仕事をしろ、ということです。

JAL他航空各社には、長期的な経営計画があります。
当然ながら、彼らは自社の収益に貢献する飛行機を調達します。
彼らはどの航空機を調達しようと自由です。
ボーイングの競合であるA社から買ってもいいのです。

その中でボーイング社が選ばれるためには、
ボーイング社の提案する航空機が、A社よりも
コストパフォーマンスが良くないといけません。

それを現実にするには、A社がどこからどのような素材を
調達しているかを探る必要があります。
もし、その素材がより軽量で安全な素材なら、
ボーイング社はA社に競争に負けてしまうからです。

このようなとき、ボーイング社が東レに更なる開発提案を
要求してくれればいいのですが、その可能性がなければ
ボーイング社はA社の調達先である素材メーカーにアプローチし、
東レではなくそちらから調達するように努めるでしょう。

こうなったら、東レは終わりです。
航空機市場は巨大市場ですが寡占市場ですから、
他に売り先がなくなってしまうのです。

顧客であるボーイング社の満足度を最大にするには、
ボーイング社のお客であるJALの満足度を最大にするしかありません。
それを実現するためには、ボーイングの競合であるA社と、
A社に素材供給しているメーカー=東レの競合の動きを把握し
それを踏まえた上での提案が必須なのです。

これを私の仕事に応用してみましょう。
私は企業の管理職研修の講師です。
顧客であるクライアント人財育成部門の満足度を最大にするには、
その部門のお客に匹敵する受講生の満足度を最大にするしかありません。

それを実現するためには、クライアントの競合するB社と、
B社に管理職に研修を実施している講師=酒井の競合の動きを把握し
それを踏まえた上での提案が必須なのです。

と、ここまでの範囲で考え企画したことは滅多になかった…と、
今改めて気が付きました。
う~ん、これは反省しなければいけません。
「東レの一兆円発想法」。
皆さんも活用してみてはいかがでしょうか?

 

V字研メルマガ vol.8 あるべき姿のみを見つめよう

パッとしない梅雨のような天気が続いていますね。
天気予報によると今週もまだぐずつくみたいです。

そんな中、先週の土曜日だけは、久しぶりに
「あ、なんか夏…」と思わせる日差しが返ってきました。
夏らしい日差しを浴びながらふと思い出しました。
今年の夏は、日差しを浴びしながらランニングして
シェイプアップするぞ!誓ったことを。

雨で今日も走れないな…それを言い訳に
いつしかそんな誓いを忘れていました。
そして人間、環境に慣れてしまうと元々持っていた
思考や感覚を忘れてしまうものですね。
私は今の体型に決して満足していなかったのに、
雨続きの日々に「まあ、いいか」と自分を許していたのです。

ビジネスでもそんなことがよくあります。
業績が好調だとついそれに慣れて満足してしまい、
元々持っていた志や理想を忘れてしまうのです。

先日、カゴメの工場を訪問したのですが、
そのときにも同じような話を聞いて感心しました。

工場で頂いた飲料が、カゴメトマトジュースプレミアム。
http://www.kagome.co.jp/tomatojuice/premium/
期間限定品で、原材料は取れたての国産トマトだけ。
トマト以外に塩も砂糖も加えていません。
ただトマトを絞っただけの商品です。

飲んでみると…のど腰が実にスッキリ。
トマトの美味しさがストレートに伝わってきて、
「自然の恵み」ってこういうことなのだ、と感激しました。

原料がトマトだけ、というのは凄くチャレンジングな商品です。
なぜなら「野菜生活100」や「野菜一日これ一本」に
代表されるように野菜ジュースや野菜果実ミックスのシリーズで
ヒットを連発している会社です。
混ぜて味を作ってきた成功体験があります。

ですから、私は「なぜ今更ストレートなのだろう?」と
疑問に持ちました。よほどの理由がない限り、
成功体験の逆方向に人間はシフトしないものだからです。

そのことを私が質問すると、
工場長は社長の指示だったと教えてくれました。

昨年、同社のトマトジュースが空前の売れ行きとなり、
店頭からなくなるという事態にまでなりました。
理由は、2012年の2月に「トマトには脂肪燃焼成分があり、
メタボに効果がある」という京大の研究チームが発表したこと。
これが報道され、一大ブームとなったのです。

この研究は、カゴメとは関係のないところで行われたものでした。
そのため社長は「それを当社が発信しなかったことを恥じろ」と
指摘したのです。

メーカーがモノだけ作っていればいい時代は終わりました。
とりわけNo.1ならば社会に対し、生活をよりよくするための
新しい提案をしていくことが求められています。
それを発信できなかったのは情けない、というのです。

そこでカゴメは「自分たちはまだなだトマトの価値を
お客様に提供できていないのではないか?」と
自問自答しました。その中から生まれたのが
「自分たちはトマトのストレートな美味しさを
伝えていないのではないか」という疑問。
そして、今回のプレミアムが誕生したのです。

それ以外にも、「トマトを使った料理の提案が足りないのでは?」
「健康増進や機能障害に有効であることを伝えていないのでは?」
と自問自答し、商品開発や情報発信に注力していると言います。

空前のトマトブームの中、社員の中には
「売れているのだから問題なし」と思っていた人もいたことでしょう。
が、No.1企業は再び挑戦者に戻りました。
あるべき姿のみを見つめて、「まだまだ足りない」と
悔しがることは、人をここまで真摯にさせるのですね。

雨ぐらいであるべき姿を忘れてはいけないな…
暑い日にプレミアムを飲みながら、ほとほと反省しました。

 

チーム力を引き出す女性マネージャのスローガン~プラス『Fitcut Cuerve』開発物語~

■シェアを落として、自社商品の足りない点に気づく

「もはや開発の余地はない」と思われる成熟商品。
そのような商品にも、実はまだまだ成長する可能性がある。
そんな「限界突破」を見せてくれた商品が、
文具のプラス(PLUS)のハサミ『フィットカットカーブ』だ。
http://www.plus.co.jp/news/111214.html

この大ヒット商品は、女性の開発リーダーが、
熱い肉食系のスローガンを掲げたことから生まれた。
そこで今回は、スローガンがもたらす効果について考えてみたい。

この商品の開発は、同社のハサミのシェアを他社に取られたことが発端。
このとき同社は、「今の当社の商品には何かが足りない」と考え、
ハサミに関する「不満」「要望」を徹底的に洗い出す調査を行った。

そして、プラスの担当者はこの調査結果を見て驚いた。
ハサミへの要望の第一は圧倒的に「切れ味」だが、
家庭においてハサミを使って切るものは「紙」ではなくなっていたからだ。

それは「プラ」「ビニール」「厚紙」「布」など。
紙はわずか8%。それ以外が92%も占めていたのだ。

考えてみれば、最近は家庭でペットボトルや牛乳パック、
ダンボールやCDなどをハサミで切ることが多い。
これらは20年前には家庭の中になかったものばかり。
リサイクルのため、こうした普通の紙でないものを切る機会が増えたのだ。

■ハサミに歯ブラシのマーケティングを応用する

切る対象が変化したのだから、
ハサミももっと切りやすいものに進化しないと…

そう気づいた同社は、ベルヌーイカーブ刃を使ったハサミを開発した。
これは、ハサミの先の角度を常に30度に保ちながら切る構造になっていて
従来の1/3のチカラでスパッと切れる。
そのため『フィットカットカーブ』は瞬く間に評判となり、
文具系の専門誌はもちろん、芸能番組などでも多く取り上げられた。

が、同商品がヒットした理由は切れ味だけではなかった。
この商品の開発リーダーは女性。
彼女は、設計/企画/販促/生産/販売のスタッフに
「ヒット商品番付を狙いましょう」とのスローガンを掲げた。
経験したことのない者にとって、大胆な目標設定だ。

が、彼女は本気だ。
そして、ヒットさせるために徹底的にこだわった点があった。
ハサミの色である。
一般にハサミの定番は、持ち手が「青」と」黒」色のもの。
その色を敢えて使わず、違う色の商品を出したのだ。

「青」と「黒」のハサミを出せば、
営業担当者は売りやすいから、そればかりを売るだろう。
すると、定番品になってしまう。
定番になれば一定数は確実に売れる。が、ヒット商品番付まではいかない。
例えるなら、甲子園でベスト8には入れても、決して優勝はできない。
「青」と「黒」を選択すれば、ベスト8止まりなのだ。

同社の調査によると、ハサミは一世帯あたり平均9本だという。
そこで彼女は、歯ブラシと同じように
「ハサミはひとり一本」に照準を定めた。
さらに、家族の歯ブラシはお母さんが皆の分を買うするように、
ハサミもお母さんが家族分を色で揃えて買う。
そんな売り方をすれば、ヒット商品番付も可能だと読んだのだ。

選ばれた色は「選ぶのが楽しく、おいしそうなシャーベットカラー」。
スタンダードタイプは一本315円で全5色。
これを、陳列棚に5個以上並べて売ろうとしたのである。

が、これに抵抗したのが、社内の役員たちだ。
彼らにとってハサミといえば「青」と「黒」。
それ以外を売ったことがないからだ。
そんな彼らが「なぜ、青と黒を出さないのか?」と突っ込むのは至極当然。
購買の中心である主婦女性目線で意匠と売り方を考えた結果だと伝えても
経験則で語る人を簡単には説得できなかった。

■足で稼いだ情報が、最大の敵を動かす

こうした社内の敵を倒すため、
女性リーダー以下開発スタッフは、
ターゲット層である主婦に対し直接のインタビュー調査を行った。
各自のお友達の奥様にブラインドでハサミを使ってもらい
10組のカラーサンプルの中から
「どのハサミを選びますか?」と尋ねたのである。

主婦たちが選んだのは、シャーベットカラーだった。
友達への直接調査だからサンプル数はせいぜい50だが、
そのときの主婦の生の言葉、選択の様子を加えて役員を説得したところ、
頑なに反対していた役員も納得。
定番の「青」と「黒」を選ばないシャーベットカラーが採用されたのである。

大掛かりな調査ではなく、地道な聞き取り調査。
それが、踊る大捜査線の青島刑事のように
会議室に巣食う敵を動かしたのである。

こうした地味な活動を開発スタッフ皆でやった原動力は、
ひとえに開発リーダーの「ヒット商品番付を狙いましょう」だった。

私の経験だけでモノを行って申し訳ないが、
女性リーダーには、とかく順位競争に燃えるリーダーが少なくない。

「顧客を見ろ!」とか「社会のために!」と言うとキレイだが、
「競争に勝つために!」といった単純な肉食系のメッセージも、
本気で語るならばそれは人の心を揺さぶり、動かすである。

 

企業の本気が伝わる商品とはどういう商品か~キリン『澄みきり』『のどごし生』の挑戦~

■商品『澄みきり』のCMから読むキリン社内の葛藤

キリンがこんな広告を展開している。
『「キリンじゃなくちゃつくれないものを、もう一度つくろう」
という決意で2013年の夏をおいしくしてみせる。「キリン 澄みきり」』
http://www.kirin.co.jp/brands/sumikiri/

相当の気合だ。そこで今回は、こんなに気合を入れている背景には
何があるのか、裏読みしてみようと思う。

こんな決意をするのだから、現実には逆の現象があるはずだ。
「キリンじゃなくちゃつくれないものがなくなってきた」
「キリンじゃなくてもつくれるものばかりを作ってきた」
などの危機感が社内にはあると予想される。

というのも、キリンは数年前ラガーCMで「昔から決まっとる!」という、
若者には全く受けつけることができない主張を流した。
これ見たとき、私にはラガーの魅力よりも
「キリンの存在価値が、消費者に伝わっていない、
老舗のブランドイメージに頼るしかない」という同社の焦燥が伝わってきた。
その焦燥が、今回の開発のポリシーになったのだろう。

おそらく社内では先行した他社商品に対し、
「同じものを作れ!」と後追いで開発する指示命令の嵐なのだろう。

が、これは恥ずべきことではない。
キリンはNo.1メーカーである。そんな二番煎じでも、出せば市場で勝てる。
かつて、開発面で常にソニーに先行され、その後追いをした松下が
消費者から「マネシタ」と揶揄されても、その販売力でNo.1であり続けたように
二番煎じ戦略は、No.1だけに許された立派なマーケティング戦略だ。

だからその戦略を間違っているというつもりはないが、
開発者はそんな仕事をしたところ面白くないと思う。
開発者は、世の中にないものを出したいのだ。
ジョブズじゃないが、「社会に衝撃を与えたい」。
それは、販売力に頼った二番煎じでは実現できないのだ。

■「安定した収入」か「自分にとっての楽しい仕事」か

ここに興味深い統計がある。
内閣府大臣官房政府広報室発表の「国民生活に関する世論調査(24年6月)」で、
「どのような仕事が理想的だと思いますか?」という質問への答えだ。
http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-life/zh/z43.html

23年10月までは第1位は「収入が安定している仕事」が1位だった。
が、24年6月ではそれが初めて2位に転落したのだ。
代わって史上初めて1位になったのは「自分にとって楽しい仕事」。
前者が60.1%、後者が61.1%で僅差であるが、逆転したのだ。

この統計にはもうひとつ、興味深い逆転がある。
第4位に「世の中のためになる仕事」が浮上し、
それまで4位だった「失業の心配がない仕事」が5位に陥落した。

つまり、人は「楽しい仕事」や「世の中の役に立つ仕事」を求めるように
なってきているのだ。
すると、いくら二番煎じ戦略で勝って会社が儲かったとしても、
社員の満足度は上がらないのである。

文具メーカーで有名なプラスでは、新商品の企画を上げると、
その企画を評価する役員は、担当者に必ず次のように聞くという。
「で、これと同じ商品は世の中にあるのか?」

このとき、「ある」と答えたら、その企画は没。「ない」と答えたら、OK。
販売力で他社に劣る会社は、斬新な企画力で勝負するしかない。

こんな会社の開発者は大変だ。
が、プラスの社員は実に楽しそうである。
きっと、勝つとわかっている二番煎じ戦略よりも、
勝つか負けるかのエッジの上に立っている挑戦者魂にワクワクするのだろう。

安易な戦略か、エッジの上の挑戦者魂か。
そのような現場の葛藤の果てに、
今回のテーマ「キリンじゃなくちゃつくれないものを、もう一度つくろう」は
あったのではないかと思う。

■ キリンの「本気が伝わる」とはどういうことか?

今回のCMで私が感心するのは、キリンは時々、
こんな開き直ったモチベーションになる会社だということだ。

以前、『のどごし生』を開発した人の話を聞いたことがある。
そのときの開発のスローガンは
「キリンの本気が伝わる商品を作ろう!」だった。

その本気の源になったのは発売当時(2005年)の時代背景。
それまでビールは、仕事のついでに飲まれることが多かった。
接待や、社内の飲ミュ二ケーションで消費されたのだ。

ところが、そういう機会が減り、代わって増えてきたのは
自宅で家族(夫婦)で缶ビールを飲む機会。
スポーツやイベント等地域の仲間と、汗を流した後に飲む機会。

こんな時に相応しいのは、ラガーのような重いビールよりもっと軽い感じ。
そこで生まれた、開発コンセプトが「家族に囲まれて幸せ!」だった。
ターゲットは「日産・エルグランデに乗るお父さん」。
そこには完全に仕事色なし。孤独感も悲壮感もなし。
底抜けの明るさや開放感しかない。
よってボトルデザインも、CMのタレントも一貫してああなるのである。

つまり、キリンがいう「本気が伝わる」とは、単に味がすごいだけではない。
「酒は仕事中心から、家庭中心へ」「飲酒はお付き合いから、本当に楽しい時間へ」
というトレンドの変化を、キリンからの提案として商品に盛り込んだ。
それにより、『のどごし生』を飲む消費者を、仕事の重さから開放した。
そういうライフスタイルの変化を起こす。
そのことが、キリンの「本気が伝わる」ということだ。

そう考えると、これぞ「No.1企業魂!!」と絶賛したくなるのだが、
今回の『澄みきり』も、きっと斬新でユニークなコンセプトが
盛り込まれている商品であると期待したい。

では、どんなコンセプトがそこにあるのか。
それを考えながらこの新商品をいただくのも私の楽しみのひとつだ。

 
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株式会社V字経営研究所は、2014年4月に起業した、次世代経営チームの育成を支援するコンサルティング会社です。 「 事業と人財のV字回復するプログラム、あります 」 をスローガンに、企業の最重要課題である増収増益の実現と人財が育つ仕組みづくりを支援します。また、その実践を通じて社長が右腕と頼む次世代経営チームを育てます。次世代経営チームが強くなれば、今日出会ったお客様と、100年後も付き合い続けることができるでしょう。
企業がそのような100年ブランドへと成長することが当社の理想です。

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